モテない男は「努力してない」のではない、必死の努力が「努力」と評価されないのである

一人で服の買い物なんて、怖くてできなかった

でもそれじゃダメだと思い、一念発起して一人で服屋に向かった

「店員さん、頼むから話しかけないで下さい」

そんな願いも空しく、店員さんに話しかけられた

それも必死に対応した

そして無理して、金もないのに高い服を買った

一応、名前を聞いたことのあるブランドだった、はず

そして、その高い、新品の服を着て、

下界への冒険に繰り出した

「ああ、頑張ったな、俺」

自分でそう思っていた

だが、人からは

「今から食堂でアルバイト？」

としか見られらなかった

それが現実なのである

なんだろうなあ、この世の「モテる要素」が、

ファッションとかじゃなくて、

「江戸文化に詳しい」とかにならんかなあ

そしたら俺は、他人を

「お前全然努力してないな、ちょっとは努力しろよ」

と見下せたのに

「三勝半七」や「おはん長右衛門」が、なんのことかわからんだって？

全然努力してないじゃん

と言えた

「三勝半七」なんて夏目漱石の「行人」でもふれられてるのに、

それが全くわからないような努力から逃げてきた奴が、

モテないとか言われても同情できんわ、

と言えた

「曽根崎心中」と「心中天の網島」との区別ができない？？？

中学生男子レベルですか？

と言えた

そんな世界だったらよかったのに

あっしがこたつで流した涙は

川になろうが

小春さんどころか誰ものみやしませんぜ